Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
誘電体バリア放電プラズマ法によるメタンの転換反応 — マイクロ波プラズマ法との比較 —
今野 克哉小林 基樹尾上 薫山口 達明
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2010 年 53 巻 3 号 p. 144-151

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抄録

誘電体バリア放電プラズマ法(DBD)によりメタンの転換反応を行い,先に報告したマイクロ波プラズマ法(MW)と比較した。印加電圧(Pw),ガス圧力(P0),ガス流量(F0)は電子と分子の衝突などに影響を及ぼすため,解離するラジカル種が変化すると予想される。Pwを変化させた結果,DBDでのメタン転化率(XCH4)は9.6%とMWでのXCH4(93.8%)に比べ低いことが明らかとなった。DBDでは増炭反応が進行し,生成物の6割がエタンであり,他にプロパン,メチルプロパン,ブタンが生成する。一方,MWでは脱水素反応が進行し,生成物の9割がアセチレンである。P0を変化させた結果,DBDでのXCH4はMWでのXCH4よりも低いことが分かった。DBDではプロパンが増大し,101.4 kPaでブタンが生成した。MWではほとんどがアセチレンであった。F0を変化させた結果,DBDのXCH4は減少した。MWのXCH4は0.80 mmol/minまで増加し,1.26 mmol/min以降で一定となった。しかしながらF0の変化は選択率にはほとんど影響しない。DBDでのメタン転換の特徴は大気圧のパルスプラズマに起因すると考えられる。DBDでのメタンの反応過程を推定するため,エタン,エチレン,エタン/水素混合ガスを原料に用いた。原料ガスによらずメタン,アセチレン,プロパン,ブタンが生成した。エタンを原料ガスとした場合,エチレンの生成が確認された。また,エチレンを原料ガスとした場合,エタンが確認された。メタンの反応過程は次のように考えられる。まず,メタンからエタンが生成し,次にエタンからプロパンを生成する。ブタンはプロパンから生成するC3H7とCH3のカップリングによるものとエタンから解離してできたC2H5どうしのカップリングによるものが考えられる。一方で,生成物の分解反応や脱水素反応も進行する。

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