Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
同時糖化発酵を用いた高効率エタノール生産のための酵母前培養条件
神名 麻智 松並 裕美子松村 幸彦
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2016 年 59 巻 3 号 p. 93-96

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抄録

木質系バイオマスは,国内の賦存量も豊富なことから,その有効利用が期待されている。木質系バイオマスから生産されるバイオエタノールは,ガソリンと混合し,内燃機関の燃料として用いられている。バイオエタノール生産工程のコストを低減させるために,本研究では反応器の削減が期待される同時糖化発酵法を用いた。同時糖化発酵法を効率良く行うためには,前処理で生成する発酵阻害物質,および高温に対する耐性を持った酵母を用いなければならない。そこで我々は,同時糖化発酵で使用する酵母を増殖させる前培養に着目した。前培養温度を35 ℃に上昇させた酵母は発酵阻害物質の一つである5-HMF存在下での同時糖化発酵において,通常の培養温度である30 ℃と比べ,エタノール生産量が高かった。また,前培養時に5-HMFを加えた酵母においても,5-HMF非存在下のSSF時に高温前培養の効果が見られた。本研究では,前培養温度を変化させることにより,同時糖化発酵において発酵阻害物質存在下においてもエタノール生産効率を上昇させた。

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© 2016 公益社団法人石油学会
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