Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文 ─ 特集「名古屋大会」 ─
マイクロリアクターにおける安息香酸フェニル生成のための第三相中でのフェノールの物質移動
山田 博史 仙石 雄大田川 智彦
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2016 年 59 巻 5 号 p. 204-210

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抄録

マイクロリアクター中での物質移動研究のモデル反応として塩化ベンゾイルとフェノールからの安息香酸フェニル生成反応を行った。流路は断面が矩形(くけい)で底面が三つの曲面からなっている。この曲面は並行流を安定化させる役割がある。塩化ベンゾイルと安息香酸フェニルは加水分解を起こすため,水相と接しないようにしなくてはならない。そのために相間移動触媒である第三相を有機相と水相の間に生成させ,水が有機相中の原料や生成物と接しないようにした。まず,有機溶媒と水溶液の流量が反応器内の流動状態に与える影響について検討した。有機溶媒の流量が低いとき反応器内は有機−第三相−水の並行流となった。この並行流の状態で反応実験を行った。第三相中のフェノールの拡散が反応の律速段階であることが分かった。主反応の速度を上昇させるためにフェノールを水だけでなく有機溶媒にも加えた。これにより選択率が向上した。マイクロリアクターでの反応速度を従来の撹拌相反応器と比較したところ,反応速度の向上がみられた。

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