Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
メチルシクロヘキサン脱水素反応から水素を回収精製する膜分離プロセスの評価
原谷 賢治吉宗 美紀
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2016 年 59 巻 6 号 p. 299-306

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抄録

メチルシクロヘキサン脱水素反応から燃料電池自動車用の水素を回収し精製するために,いくつかの形態の膜分離プロセスを設計し評価した。計算では以下の諸点を仮定した。(a)供給ガスはあらかじめ冷却工程を経た98 %水素–2 %トルエン混合ガスとし,(b)圧力は供給側が0.3,透過側が0.1 MPaで,(c)回収水素の目標として回収率90 %でトルエン残留濃度0.3 ppm以下に精製し,(d)それを圧力0.7 MPaで貯蔵し,(e)膜分離ステージは十字流プラグフローモデルに従う。1段プロセスは回収水素を貯蔵タンクに移送するための動力原単位0.12 kWh Nm−3-H2を必要とするだけであり,最も省エネルギー性に優れるが280,000以上の非常に高い理想分離係数を必要とした。2段カスケードプロセスでは1000から1500の中程度の理想分離係数で目標が達成でき,1段目透過流を再圧縮する分も含めて0.19 kWh Nm−3-H2の動力を必要とした。1段と2段カスケードをつないだ3段プロセスでは理想分離係数10,000前後で目標が達成でき,所要動力は0.19 kWh Nm−3-H2以下であった。これら膜分離プロセスはPSAプロセスと十分に競合できると考えられる。

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© 2016 公益社団法人石油学会
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