Journal of the Japan Petroleum Institute
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総合論文
金属触媒による過酸化水素酸化反応を利用した高付加価値化学品の合成
今 喜裕
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2017 年 60 巻 4 号 p. 159-169

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抄録

過酸化水素はプロピレンオキシド,オキシムやカテコールなど有用化学品の工業プロセスに用いられる理想的な酸化剤として知られている。過酸化水素は他の酸化剤に比べ有効酸素の比率が高く安価だがそれ自体の酸化力は低いため,標的とする反応に最適な触媒の発見と触媒反応の設計が鍵となる。我々はこれまでに独自の活性触媒発見指針に基づく触媒反応の設計を行い,種々の機能性化学品製造に有用な過酸化水素酸化技術を開発し,基盤技術として蓄積してきた。今回,これまでに開発してきたタングステン酸ナトリウム−四級アンモニウム塩−ホスホン酸からなる触媒系の基盤をさらに拡充させて,他の汎用金属の適用可能性や回収再使用といった利便性の向上を目指した基盤技術に挑戦したので報告する。具体的には,鉄触媒による高速スチレンオキシドの合成,チタノシリケートゼオライト触媒による回収再使用可能触媒の反応,安定ラジカルポリマーのキログラムスケール合成の事例を示す。いずれの反応においても,ターゲットとする機能性化学品を選択率90 %以上で合成することに成功した。

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© 2017 公益社団法人石油学会
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