Journal of the Japan Petroleum Institute
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総合論文
CaO内包アルギン酸カプセルを用いたバイオディーゼル燃料の合成
古澤 毅
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2017 年 60 巻 4 号 p. 170-185

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抄録

CaO内包アルギン酸カプセルを用いて菜種油のエステル交換反応によるBDF合成を検討した。カプセル内外の液相分析およびカプセル内部の固相分析を行った結果,共溶媒として作用するFAMEのカプセル内部での蓄積,および副生グリセリンとCaOによる複合体の形成がBDF合成反応において重要な因子であることが分かった。また,CaO触媒とともに,光熱変換物質をカプセル内部に内包すると,従来のマントルヒーターによる加熱方法を用いず,光エネルギー照射下で十分にBDF合成反応が進行することも分かった。さらに,カプセル内部温度は照射する光の量に依存し,光量の増加に伴ってカプセル内部温度が上昇することを確認した。種々の検討結果より,CaO (100 mg/g-oil)と活性炭(0.5 mg/g-oil)を内包したカプセルを,全照射条件(全波長領域,集光レンズあり, 3.6 W)下でのBDF合成反応へ適用すると,1時間で60 %, 6時間で90 %のBDF収率を達成し,最も良い性能であった。また,同条件下でのカプセル破損率は53 %であったものの,FAME相へのCa溶出率はわずか0.37 %であった。

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