Journal of the Japan Petroleum Institute
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総合論文 ―特集「ゼオライト触媒を用いた低級オレフィン製造(1)」―
MFI型,MTW型ゼオライト構造を有するメタロシリケートを用いた含酸素有機物からの低級オレフィン合成
中坂 佑太 多湖 輝興増田 隆夫
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2017 年 60 巻 6 号 p. 277-287

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抄録

低級オレフィンは逐次反応の中間体生成物であるため,ゼオライト触媒を用いた選択合成において逐次反応の制御が必須である。ゼオライトを触媒に用いる際,ゼオライト結晶内における反応原料,反応生成物の拡散抵抗およびゼオライト酸点の強度が触媒活性や生成物選択性に強く影響を及ぼす。本稿では,粒径の異なるMFI,MTW型の構造を有するフェリシリケートおよびフェロアルミノシリケートの合成と,含酸素有機物であるアセトン,メタノールからの低級オレフィン合成について解説する。アセトンおよびメタノールからの低級オレフィン合成において,MFI型構造を有するフェリシリケートナノ結晶はマクロ結晶に比べ安定な触媒活性を示した。さらに,両反応に対し骨格中にFeを有するメタロシリケートは芳香族やコーク生成の抑制によりアルミノシリケートに比べ高い低級オレフィン選択性を示した。メタノールからの低級オレフィン合成において,ゼオライト骨格中のFeおよびAlに由来する二種類のブレンステッド酸点を有するフェロアルミノシリケートが低級オレフィン合成に有効であった。

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