Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
自己組織化有機ナノチューブを吸着剤として用いた随伴水処理技術
小木曽 真樹 青柳 将
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2018 年 61 巻 1 号 p. 44-49

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抄録

有機ナノチューブを吸着剤として用いた新規の随伴水処理技術を開発した。有機ナノチューブは両親媒性分子が自己集合により形成するナノ構造体の一つであり,重金属や有機物への吸着力を有する。随伴水モデル水溶液を用いた実験から,pH 6以上で重金属がアルカリ土類金属に対して3000倍以上の高い選択性を持つことを明らかにした。また,ペプチド脂質を分子設計することでp-クレゾールを13 ppmから1 ppm以下まで削減できることを明らかにした。排水からの分離性能の向上を目指して,マグネタイトナノ粒子と有機ナノチューブの複合化に成功するとともに,非複合体と同等の吸着性能を維持していること,pH 9以下で使用できることを明らかにした。掘削によって得られた実随伴水を用いた吸着実験を行い,重金属,浮遊性固体,油分,一部の有機物に吸着性能を持つことを明らかにした。随伴水に限らず,含油排水や高塩濃度排水を前処理なしに処理可能な吸着剤として期待できる。

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© 2018 公益社団法人石油学会
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