2019 年 62 巻 5 号 p. 205-210
硫黄分(7.6 wt%)を含む石油コークスを原料とし,硫黄分の減少を抑制しながら細孔構造を発達させるKOH賦活条件の検討を行った。KOH賦活は物理混合法および含浸法を用いた。物理混合法と含浸法はそれぞれ大粒径および小粒径の原料の細孔発達に効果的であった。KOH/コークスの質量比と賦活温度が上昇すると,比表面積は増加するが硫黄含有率は減少した。したがって,硫黄分の減少を抑制し細孔構造を発達させるためには低温かつ水酸化カリウム量を減らした温和なKOH賦活条件が適する。粒径420~1000 μmの原料を物理混合法にて,また粒径10 μmの原料を含浸法にて,賦活温度550 ℃,KOH/コークスの質量比1の条件で賦活をした結果,得られた活性炭の比表面積および硫黄含有率はそれぞれ651 m2/g,2.9 wt%および812 m2/g,5.2 wt%であった。物理混合法で調製した活性炭を酸化処理してNi(II)イオン吸着を調べたところ,硫黄含有活性炭表面に酸性域でも吸着に有効なスルホ基が生成している可能性が示唆された。