Journal of the Japan Petroleum Institute
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総合論文
触媒前駆体構造に着目したCO2水素化反応によるメタノール合成用Cu系触媒の開発
多田 昌平
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2023 年 66 巻 2 号 p. 40-47

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抄録

CO2水素化反応によるメタノール合成反応の代表的な触媒の一つにCu系触媒があるが,十分に性能が示されていないのが現状である。そこで本総説では,Cu系触媒の新たな開発指針を紹介する。それは,触媒前駆体中のCu配位構造に着目することで,触媒中の活性点構造を制御するものである。この指針を採用するためには,まず特異なCuクラスターを有するCuドープ金属酸化物を調製することが必須である。このCuドープにより,以下の三つのことが可能となる:(1)金属酸化物担体の結晶構造制御,(2)水素還元によるCuナノ粒子形成,(3)劣化触媒の再生。この指針に基づいて,著者らの研究グループは,CO2水素化反応によるメタノール合成反応に特化したCu/a-ZrO2a-=非晶質)とCu/MgAl2O4を開発するに至った。結晶構造制御およびCuナノ粒子形成は触媒活性を,再生能は耐久性を改善することにつながった。触媒前駆体中の活性金属種の配位構造に着目することで,触媒開発のみならず,活性金属種の特異な構造や挙動の発見につながると考える。

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