2024 年 67 巻 6 号 p. 238-243
プラスチックのリサイクルを推進するために,LDPE(low-density polyethylene)熱分解ガスから有価物への触媒プロセスについて研究を行った。LDPE熱分解と触媒反応を分けて評価できるタンデム反応器の利点を生かして,芳香族化合物への選択的な触媒転換について検討した。タンデム型反応器を用いてLDPE片を熱分解場に落下させることで急速な熱分解が進行し,比較的再現性の高いパルス状の熱分解生成物を後段の反応器に導入できた。そして,LDPE 熱分解の後段にゼオライト触媒を充填することで,LDPE熱分解で発生した重質炭化水素が分解され,さらに芳香族炭化水素(ベンゼン · トルエン · キシレン)が生成した。特に,Beta型ゼオライトとMFI型ゼオライトが相対的に高い芳香族収率を示した。一方で,Na交換ゼオライトは分解活性を示さなかったことから,芳香族炭化水素の生成には強い酸点が必要であることが分かった。さらに,分解温度よりも十分に高い600 ℃でLDPEを高速で熱分解することが有効であり,また触媒反応にも600 ℃の反応温度が有効であることが分かった。タンデム型反応器での30回のLDPE導入実験でも安定した芳香族炭化水素の生成を確認した。スケールアップなどの技術的課題は残っているものの,プラスチックリサイクルにおける基礎的な知見を得ることができた。