石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
高温塩素処理アルミナ触媒上でのベンゼンの2-クロロプロパンによるアルキル化反応
今西 和宏佐伯 孝之澤田 悟郎菖蒲 明己
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1999 年 42 巻 5 号 p. 321-327

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抄録

高温で塩素処理したアルミナ触媒 (AmLSA) 上でのベンゼンの2-クロロプロパン (2CP) によるイソプロピル化反応を大気圧下, 273Kで半回分式反応器を用いて行った。 AmLSA触媒はAlCl3触媒よりも高い活性を示した。主な生成物はイソプロピルベンゼン (IPB), オルト, メタおよびパラ-ジイソプロピルベンゼン (di-IPB), 1,2,4-および1,3,5-トリイソプロピルベンゼン (tri-IPB) であり, 4置換体の生成はこん跡程度であった。2CPの100%転換率における生成物組成はIPB 76%, di-IPB 19%, tri-IPB 5%であり, IPBのイソプロピル化反応ではdi-IPB 82%, tri-IPB 18%であった。触媒はピリジン吸着後573K以下の温度で脱気しても完全に被毒しており, 673Kの脱気で回復し始め, 873Kでの脱気後は被毒前の活性の43%まで回復した。反応系から触媒を取り除くと反応は完全に停止し, 活性種の溶出は起きていないと結論された。上記の結果と1-クロロプロパン (1CP) によるアルキル化反応および塩化アルミニウム触媒によるイソプロピル化反応の結果を比較し, AmLSA触媒上での反応は Friedel-Crafts 型の機構で進行していると説明された。

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