環境社会学研究
Online ISSN : 2434-0618
論文
大規模駅開発「シュツットガルト21」反対運動のフレーム
保坂 稔
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2011 年 17 巻 p. 156-170

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抄録

ベルリンやハンブルクなどが革新的な都市といった評価を受けるのに対し,バーデン・ヴュルテンベルク州は保守的な州とされる。なかでも州都シュツットガルトを中心とした地域はシュヴァーベン地方とされる。大規模駅開発「シュツットガルト21」(以下,S21と略)が発表されて以降,同地方において初めて大規模で継続的な反対運動が生じた。本稿は,インタビューの際に聞かれた「根気よく取り組み発明する」(Tüftler und Erfinder)という地域的精神を手がかりにし,多くの団体が参加し継続的になされているという特徴をもつS21反対運動の背景を考察することを目的とする。シュヴァーベンのフレームに基づいた衣装,笛吹きや技術的講演などの工夫は,非シュヴァーベン出身者が反対運動に参加することを容易にしている。

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