環境社会学研究
Online ISSN : 2434-0618
論文
日本の気候変動政策ネットワークの基本構造――三極構造としての団体サポート関係と気候変動政策の関連――
佐藤 圭一
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2014 年 20 巻 p. 100-116

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抄録

本稿は,日本の気候変動政策に関わる主要な利益団体への面接式アンケート調査の結果をもとに,第1に,日本の気候変動政策ネットワークの構造を明らかにすること,第2にその政策ネットワークの構造と,日本の気候変動政策の特徴との関連を明らかにするものである。調査結果によれば,日本の気候変動政策ネットワークは,環境省ブロック・経団連ブロックを両極とし,経産省ブロックを綱引きしあう三極構造である。補助金や減税といった政策に関する政策選好に関しては,各ブロック間の違いが見られないため,争点化がなされず,これらがベースとなる政策となる。一方これらの政策だけでは削減が不十分なため,追加的な対策が必要となる。ここでは各ブロックの政策選好の違いは大きく,それぞれの政策選好の違いを反映したかたちで綱引き状況が生じ,最終的に政治的影響力の大きい経団連ブロックの政策選好がより反映されやすい。また三極構造であることは,ブロック間のバランスを働かせ,離脱を防ぐ効果ももっており対策をとらないという選択はされにくい。以上のプロセスの結果,補助金と減税,原子力発電と自主行動計画を中心とした日本の気候変動政策の特徴が生み出される。

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