環境社会学研究
Online ISSN : 2434-0618
論文
コミュニティビジネスにおける非経済的活動の意味――滋賀県高島市針江集落における水資源を利用した観光実践から――
野田 岳仁
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2014 年 20 巻 p. 117-132

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抄録

本稿の目的は,非経済的活動にも力をいれるコミュニティビジネス組織が住民から批判を受けるなかで,どのような非経済的活動に取り組むことで地域社会に受容されていくことになったのかを明らかにすることである。事例地である滋賀県高島市針江集落ではコミュニティビジネスとして観光に取り組んでいる。コミュニティビジネスは経済的利益を追求する事業活動を通じて地域社会に貢献することが期待されている。しかしながら,地域のコモンズである自然資源をコミュニティビジネスに活用する場合には,これまで地域社会が築いてきた地域資源をめぐる社会秩序を乱し,地域の対立を招くようになっている。針江集落においても対立を抱えることになり,その対応としてコミュニティビジネスによる経済的利益が集落に還元されるが,住民が納得することはなかった。そこで人びとは川掃除といった地域資源の管理の担い手をかってでるものの,それも地域の資源利用秩序を乱すものとして否定されてしまう。人びとは反省をして,地域の資源利用秩序を乱さない非経済的活動に取り組むようになっていく。それは生活の充実を目指したありふれた活動であった。しかし,そのことが住民の評価を得られるようになっていった。本稿では,コミュニティビジネス組織が地域の社会秩序を壊さない非経済的活動に取り組むことによって,コミュニティビジネスが住民に納得して受け入れられることを明らかにした。

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