1996年8月に新潟県巻町で行われた、日本で初めての条令に基づく「原発住民投票」は高い投票率を得て町の原発政策を決定した。住民投票の実施には、2年前に発足した巻町民の会「住民投票を実行する会」が決定的な役割を演じている。この会は「住民投票による町民の原発についての意志の確認と町政への反映」を目標とした社会運動組織で、「自主管理住民投票」から始まる多様な戦略を展開し、運動目標を達成した。本稿では、政治的機会、資源動員、フレーミングの3要素を手がかりとして、この組織の誕生・発展と成功の理由を明らかにし、「結果指向型」運動の分析における総合的な視点の重要性を指摘する。