環境社会学研究
Online ISSN : 2434-0618
特集 エネルギ一転換の社会学
エネルギー政策の転換と市民参加――実質的政策転換の再評価の試み――
田窪 祐子
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2002 年 8 巻 p. 24-37

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抄録

本稿は,社会運動や自治体など政策過程に関わる諸主体の活動の「結果outcome」に注目して,エネルギー政策転換の可能性を左右する要因を検討しようとするものである。日本と,原子力・化石燃料から再生可能エネルギー重視へとシフトした西欧諸国,とくにドイツにおける,エネルギー政策の決定段階および実施段階における諸主体の役割の検討を行う。仮説的な結論として次の2点を提示する。国レベルの抜本的政策転換は,ドイツの脱原子力合意がなされた過程からみても,必ずしも直接的な「市民参加」を要請するものではなくむしろその逆である。逆に実施段階における新たな代替案としての再生可能エネルギーの導入には,アドボカシーのみではなく実践を行っていく運動がカギになる。

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© 2002 環境社会学会
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