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バイオ分野における大学発明の技術移転の現状と問題点
松田 奈緒子
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2004 年 49 巻 3 号 p. 183-187

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抄録

平成16年4月の国立大学法人化に伴い, 多くの大学で知的財産本部が発足するなど, 大学における知的財産権に関する環境は劇的に変化しつつある。また科学研究費をはじめとする公的研究費による研究の遂行においても, 知的所有権の権利化が求められるに至り, 大学の研究者の間にも, 研究成果の権利化についての関心が高まってきた。しかし, 教育機関であり, その研究成果は世界の科学水準の向上のためにいち早く学術発表すべきという基本的な要請がある大学における発明の権利化には, 特有の問題点がいくつか存在する。特に, 技術移転の際には, しばしば企業と大学の研究者間での考え方の違いが顕在化してくる。しかし, 一大産業として発展することが期待されているバイオ産業の発展のためには, 大学における研究成果の有効な活用は必須であり, 大学と産業界との橋渡しの役目を担う各TLOの責務は重大である。著者は財団法人大阪産業振興機構(大阪TLO)のバイオ分野のコーディネータとして, 大阪大学における発明の発掘,権利化およびライセンシングに携わってきた。その経験をもとに, バイオ分野の大学発明の技術移転の現状と問題点を考察する。

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