2005 年 50 巻 2 号 p. 128-133
学術情報流通は変革できるのか?という問いは, 現在, 米国, ヨーロッパ, そして日本が検討すべき課題である。共通する問題は「ジャーナルの価格高騰」である。そしてそれぞれにSPARC運動は存在するが, 米国SPARC, ヨーロッパSPARCの方向性を我が国にそのまま持ち込むことはできない。学術情報の担い手である学会というものの在り方が歴史的背景として異なるからであり, その学術政策も, 知識の蓄積の仕方も異なる。日本の現況を踏まえ, もっとも我が国に相応しい学術情報流通運動の変革, つまり日本独自の方向性を見いだすことが, 最善の策である。その中心にあるのは, 研究者, 図書館そして学協会である。