薬剤師が患者に直接情報提供を行うようになってから数年の歳月が経ち, 薬剤師に最も欠けているものとして“患者とのコミュニケーション力”が取り上げられる機会が増えている。情報を受ける側である患者が何を知りたいか, 何が不安なのか, に配慮する視点やそれを聞き出すコミュニケーション力が欠けていれば“患者の頭は満たせても心は満たせない”情報提供になってしまう。本稿では, 医薬品情報の提供の主役はあくまでもそれを用いる患者である, という原点に立ち戻り, 患者の心を満たす情報提供のために薬剤師に必要なコミュニケーション力について考える。