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EBMを実践できる人材育成のための基礎教育として
橋口 正行
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2007 年 52 巻 2 号 p. 98-103

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抄録

薬学教育6年制の目的は, 国民の期待に応えられる質の高い薬剤師育成のための職能教育の重視と実践であり, 医薬品の適正使用を通じチーム医療・地域医療に貢献できる人材の輩出である。チーム医療において薬剤師がなすべき役割は, 端的には, 「科学的な根拠に基づく薬物治療の支援」と言える。このような能力を学生に身につけさせるためには, 医薬品情報学教育が重要である。ここでは北里大学での新カリキュラムにおける医薬品情報学の基礎教育(案)について紹介する。新カリキュラムでの医薬品情報学関連教育は, 4年生前期開講の医薬品情報学1(必修: 1単位)と, 6年生前期に開講する医薬品情報学2(選択必修: 0.5単位)とEBM演習(選択必修: 0.5単位)からなる。なお, 後者の2科目は, ペアで受講することを条件づけている。医薬品情報学1では, 情報源, 情報の収集・評価・加工・管理等の基本的知識を, 医薬品情報学2では, 臨床研究・疫学研究, EBM等を講義し, EBM演習では, 実際の文献検索, 批判的吟味, 臨床への適用などを個別に学習させる予定である。本学での6年制教育課程での, 大学における基礎教育としての医薬品情報学の講義内容を紹介した。本教育は, 病院・薬局などの臨床の場でEBMを実践できる薬剤師の育成だけでなく, 行政・製薬企業においてEBMを提供できる人材の養成のための基礎教育にもつながるものと考える。しかし, これらはあくまでも大学での基礎教育であり, さらにその上の課程におけるアドバンストな教育も必要であると考える。

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