学術情報を求めて大学図書館を訪れる人は減っているように見えても, ネットを通じた情報アクセスは急速に増えており, 図書館がこのパラダイムシフトに対応しきれていないことが大きな課題と思われる。薬の革命と化石燃料時代がもたらした寿命の伸長・人口爆発・地球汚染という複合的な今日の問題を解決するためには, 生命活動が向かう未来は創造性の実現である, という発想も必要である。創造力を発揮するためには, 文化情報を外置するという図書館本来の役割を再認識したい。薬学系大学図書館に期待される役割は, 健康と薬の可能性について熱い思いを抱かせ, それを実現する情報基盤を整備することである。学術情報をいつでも利活用できるシステムを用意し, 学生・研究者が知的で創造的な活動に集中できるようにする。図書専門職員の皆さんには, 薬学生に対して「学術情報に親しむ」というメッセージを送りながら, 図書館はヒューマニズムに裏打ちされた薬剤師となるための知的刺激の場であり, また, 学術情報を用いて問題解決する場であることも伝えていただくよう期待している。
