もち病菌ニ因ル椿肥大芽ノ解剖學的研究

抄録

Exobasidium Camelliae 菌ノ侵害ヲ蒙ツタ椿肥大芽ノ組織ハ, 啻ニ細胞ガ肥大, 増生ヲスルノミナラズ, 皮層中ニ多數ノ皮走條トモ見ラレル維管束ヲ新生シテ, 極メテ複雜ナモノデアル。子實層ハ肥大芽ノ全面, 表皮細胞下2-25層ノ内部ニ於テ, 皮層細胞間隙ニ生ジ, 夫等細胞層ハ後破裂細分シテ, 子實層ヲ露出スル樣ニナル。皮層中ノ新生維管束ノ形成状態ヲ見ルニ, 最初原維管束ノ一端カラ皮層中ニ形成層ヲ新生シテ, 夫カラ或ハ木部ヲ, 或ハ篩部ヲ形成シテ, 以テ竝生, 或ハソノ倒立型, 複竝生, 更ニ外篩, 内篩包圍型維管束ヲ生ズルニ至ル。是等ハ常ニ一定ノ形態ヲトルモノデナク, 進ムニ從ツテ分岐變化スルモノノ如ク, 遂ニハ子實層ニ終ルモノデアル。而シテ末端ト雖モ尚假導管ヲ認メル場合ガアツテ, 寄生菌ノ榮養供給ニ關與スルモノト推定スル事ガデキル。HOUARD ハ一蟲_??_ニ於テ之ト類似シタ維管束ヲ認メ, “faisceaux d'irrigation” ト名附ケ, GUTTENBERG モ亦躑躅ノ菌_??_デ同樣ノモノヲ認メタガ, 全ク同性質ノモノト見ル事ガ出來ル。