植物学雑誌
Online ISSN : 2185-3835
Print ISSN : 0006-808X
ISSN-L : 0006-808X
にがなノ核型ト結實ノ樣式
小野 記彦
著者情報
ジャーナル フリー

1941 年 55 巻 649 号 p. 17-24

詳細
抄録

にがなノ染色體數ハ, 石川(1911) ノn=12, 岡部(1932) ノ2n=21ガ報告サレテヰル。著者ハ各地ノにがなガ, 2n=24ノ染色體ヲ有シ, 大キイV型4對, 小サイV型5對及ビJ型3對ヨリ成ルコトヲ見タ。尚頭花數總苞數多ク, 草姿大形ノはなにがなモ同樣ノ核型ヲ示シタ。結實ノ樣式ヲ決定スルタメニ, 即チ (1) 自由受粉, (2)自花受粉, (3)受粉セシメナイ場合, (4)柱頭ノ上部ヲ切ツタ場合及ビ (5) 他種ノ花粉ヲカケタ場合ニ成熟スル痩果ノ割合ヲ調ベタ。ソノ結果ハソレゾレ (1) 97.63%, (2)24.82%, (3)7.49%, (4)89.14%及ビ (5)68.43%デアツタ。(4), (5) デ結實歩合ノ高イコトハ, コノ植物ガ岡部 (1932) ノ報告スルヤウニ單爲生殖ヲスルモノデアラウト考ヘラレルガ, (2), (3) デ結實歩合ガ低イコトハコノ植物ハ他花受粉ニヨツテ種子ヲ生ズルコトヲ物語ツテヰル。更ニ (4), (5) ヨリ得タ痩果ハ發芽シナカツタコトカラ考ヘテ, 是等ハ單ニ, 切斷又ハ他種ノ花粉ノ剌戟ニヨツテ生ジタモノト思ハレル。又岡部(1932) ノ2n=21デ單爲生殖ヲスル種類ハ2n=14ノたかねにがなカラ由來シタモノデアラウ。

著者関連情報
© 公益社団法人 日本植物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top