植物学雑誌
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本邦産二三植物の葉瘤に就いて I
花田 主計
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1951 年 64 巻 751-752 号 p. 8-13

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抄録

カラタチバナ, マンリヨウを材料として, 主として生理解剖學的に葉瘤を研究した結果:
1. 葉瘤細菌の侵入經路には疑義が殘されて居るが, 外部より氣孔を經て侵入し, 氣孔下内部に葉瘤を形成させるに至ると見るべき節が濃厚である。
2. 葉瘤細菌は細胞間隙に存し, また細胞内部にも侵入する。細胞内に侵入する方法は氣室下組織の極めて若い細胞の分裂直後の細胞間隙に於ける細菌が, 自體より分泌する化學的物質により, 該若い細胞膜を溶して侵入するもののようである。
3. 細胞内に侵入した細菌は細胞内にて生活増殖し, 細菌數少量の間は尚細胞分裂に伴つて, 兩娘細胞に入る。
4. 葉瘤組織は蛋白質を含有する。之には細菌作用の關係があると解せられる。
5. 葉瘤に連なる維管束末梢は, 篩管部がよく發達してゐる。之は葉瘤内に生成された有機物質を寄主植物に供給する上に役立つものと解せられる。

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