日本中部山岳地帯の蘚類 I

抄録

本邦中部地方には幾多の山脈, 火山脈が走り, 富士山をはじめ多くの高山があり, 海抜3000mを越すもの約15座に及び日本に於ける最も高峻な地域をなしている。著者はこれ等山岳地帯の主として亜高山帯以上の地域について蘚類フロラの調査を行いつゝあるのでその結果を逐次報告する予定である。尚, 亜高山帯 より低所のきのも, それが高山の山腹, 山麓であれば, 同時にこの報告の中に含ませることにした。本第1報に於ては Grimmiaceae の中で Coscinodon 及び Grimmia の2属について今迄に得た下記の種類を報告した。 a, 1) Coscinodon cribrosus (Hedow.) Spr. ツバナゴケ b, 1) Grimmia apocarpa (L.) Hedw. ギボウシユゴケ var. gracilis (Schleich.) Web.et Mohr. ホソバギボウシユゴケ var. pulvinata (Hedw.) Grout ハヌケ (歯抜け) ギボウシユゴケ (新称) 日本新産 var. conferta (Funck) Spreng. アナバ (孔歯) ギボウシユゴケ (新称) 日本新産 b, 2) G. alpestris Nees アルプスギボウシユゴケ(新称) 日本新産 b,3) G. elongata Kaulf. ヤリバギボウシユゴケ b, 4) G.pilifera Beauv. ケギボウシユゴケ b,5) G. ovalis (Hedw. ) Lindb. カビギボウシユゴケ b, 6) G. incurva Schwaegr. チヂレギボウシユゴケ(新称) 日本新産 b, 7) G. Hartmani Schimp. シモフリゴケモドキ var. anomala (Hampe) Moenk. イボハ (疣葉)シモフリゴケモドキ (新称) 日本新産 b, 8) G. decalvata Card. ミヤマギボウシユゴケ b, 9) G. andreaeoides Limpr. クロゴケモドキ (新称) 日本新産 b, 10) G. akaishi-alpina Takaki アカイシギボウシユゴケ (新称) 新種