植物学雑誌
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仮導管の膜構造, 特にその膜層について
長友 貞雄
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1952 年 65 巻 765-766 号 p. 43-50

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抄録

アカマツを用いて仮導管膜の構造特にその膜層を明らかにせんとし, 顕微鏡的觀察を行った。二次膜外帯は二層より成ることを知った。この二層に初生外帯及び後生外帯の名を付した。一次膜は一般染色法によると中間膜葉 (Middle lamella) と同様に行動するので両者の区別は出来難い。偏光の使用によつてのみその存在を確めることが出来た。形成層の細胞の膜は未だ重屈折性を示さない。これが仮導管に発展すると始めて重屈折性を示す。従つて原生膜 (Cambial wall) と云う用語と一次膜 (Primary wall) と云う用語は区別して使った方がよいと思う。即ち成長した仮導管に於ては一次膜なる語のみを使用したい。層 (Layers) なる語は任意に使用されてよいが, 二次膜を問題とする時は外帯, 中帯, 内帯と呼称するのがよいと考える。

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