植物学雑誌
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ジベレリン処理をしたアサガオの形態的観察
奥田 光郎
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1959 年 72 巻 857-858 号 p. 443-445

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抄録

アサガオのわい性種“木立”とつる性種“紫”の両種の芽生の生長点に1000ppm.のジベレリン水溶 液を滴下し,処理後10日目に観察した。
アサガオの茎の伸長に対するジベレリンの効果は,つる性種におけるよりもわい性種においていじるしい。 細胞の大きさに対する影響は,植物体の部位によつて異なり,細胞の大きさは一般に縦の方向には長くなり, 横の方向には小さくなる。ただし胚軸の細胞では横径の増加が見られる。
茎の伸長は,胚軸では主として細胞の伸長によるが,節間細胞では細胞の分裂と伸長との両方による。生 長点における葉の原基の分化もジベレリン処理によつて促進される。
ジベレリン処理をした植物の第一節間では,形成層の作用は活澱でなくなり,木部の細胞は細胞膜がいち じるしく肥厚している。この厚膜化した組織は茎の周辺に環状を呈している。細胞膜の肥厚の促進は内しょ うの細胞にも見られる。
ジベレリン処理による形成層の不活性化,および細胞膜の肥厚の顕著な促進作用とは,ジベレリンの開花 促進作用と関係のあるものかもしれない。

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