植物学雑誌
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フークス科藻類の発生力学XIV.
スギモク卵における原形質分離像
中沢 信午
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1960 年 73 巻 860 号 p. 51-54

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抄録

スギモク (Coccophora Langsdorfii) の卵について原形質分離の実験をおこなった結果, つぎのことが 知られた.(1) 食塩およびしよ糖に対する卵原形質の透過性は受精後に低下する. (2) 造形運動によつて卵 形に変化すると, 原形質分離は卵のとがった部分つまり仮根形成部でおこりやすくなる. (3) 第一次核分 裂の直後には, 卵の形態は分裂前と変りないにもかかわらず, 原形質分離は仮根極のみならず赤道帯のと ころにもおこる. これは赤道帯のところで部分的に細胞質の物理的性質に変化がおきていることを示す.
(4) 第一次卵割の直後には卵割膜は母細胞の膜とつよくは結合していない. したがつて原形質分離のとき に原形質の収縮とともに母細胞の膜からはなれる. (山形大学生物学教室)

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