1960 年 73 巻 861 号 p. 81-90
植物の物質生産はその生態学的, また社会学的生活の基礎をなすが, それは物質再生産によってはじ めて維持される. 再生産過程は光合成系による物質生産過程と, その生産物が再び新しい生産系に転形さ れる過程とにわかれる. 一般に植物が生長を増加させるには光合成系の増大による拡大再生産が必要であ る.
葉の寿命, 種子あるいは塊茎•地下茎などの形成, 非光合成系の増大, およびその呼吸などについて 考察して, 草本系 (一年生, 多年生, 永年生) および木本系 (一年生葉, 多年生葉) の5基本模式を得た (表1). この模式に, Stålfelt の光合成曲線などを適用して, マツとトウヒの生長曲線を作成し (図1,2), 葉の光合成特性のほかに, 葉の寿命, 非光合成系の呼吸などが, 耐陰性に強く影響する要因であることを 明らかにした.