1960 年 73 巻 863 号 p. 182-185
函館付近で採集したアナアオサの胞子体は細胞学的にしらべた結果, アオサ属とアオノリ属の外国種ですでに報告されているところと一致して, 游走子形成の際に減数分裂を行なうことをたしかめた. 染色体数はn=13であった. 核分裂中期の側面観で紡錘体の両極に中心体が明らかに見られた. 核および細胞の分裂は4回つづけて行なわれ, 游走子嚢内には結局16 個の游走子が形成される. 游走子は鞭毛4本を有する. 比較のため配偶体もしらべたところ配偶子嚢内に鞭毛2本の配偶子32個を形成することをたしか
めた. 緑藻アオサ科の日本産の種類で減数分裂を観察した報告は今日まで他に知られていない.