植物学雑誌
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キリンソウ種子の発芽に対するジベレリンの影響について
藤伊 正石川 茂雄中川 篤
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1960 年 73 巻 868 号 p. 404-411

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抄録

キリンソウ種子は光発芽種子であって, じゆうぶんな発芽を与えるためには, 24時間以上の連続照射を必要とする. しかし従来タバコ, レタスなどの種子で報告されているように, この種子もジベレリンを与えることにより, 暗黒でも発芽が誘起される. しかし発芽過程の進行にともない, ジベレリンに対する反応も変化することが考えられ, 発芽の全過程にわたって種子をジベレリン溶液中に置いた場合, ジベレリンが発芽のある段階を促進すると同時に他の段階を抑制し, その効果において, 両者が相殺するという懸念が生ずる. それ故ジベレリンの真の発芽誘起を知るべく, ジベレリンの短時間処理を試みた, 連続的処理においては最適濃度が25ppmであり, 100ppmではまったく発芽を誘起しないにもかかわらず, 短時間処理においては, 1000ppmの高濃度においてさえもいちじるしく発芽を誘起することを見出し, 更に発芽の後段階ではジベレリンがかなりの低濃度においても阻害的に作用することを明らかにした.

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