1961 年 74 巻 871 号 p. 6-13
同一の湖沼内において, 植物プランクトンの場所による基礎生産のちがいを調べた. 円形の単純な湖盆形態をもつ湖沼では, 著しい相違は見られず, 全水域にわたってほぼ均一であった. 長形の湖沼では流れとともに現存量, 生産力ともに減少する規則的な変化がみられた. 複雑な湖盆形態と湖流をもつ湖沼では場所によるちがいは全く不規則であった. 本論文ではこのような変化様式が湖盆形態によって規定される環境条件と, これにともなう物質生産の相違によって定まることを明らかにした.