植物学雑誌
Online ISSN : 2185-3835
Print ISSN : 0006-808X
ISSN-L : 0006-808X
クワの芽の浸透価, 含水量および溶質比の季節的変化
河野 清辻井 理貴雄畠山 伊佐男
著者情報
ジャーナル フリー

1961 年 74 巻 873 号 p. 118-121

詳細
抄録

クワの芽の連続凍結実験において, その氷点を熱電対を用いて測定した結果, 生組織の氷点の季節的変化は生体膠質結合水と死組織氷点との季節的変化によることを前報2)で明らかにした. 死組織氷点から計算された浸透価の季節的変化は, 5月から9月までは, 含水量と溶質比との両方の変化によるものと考えられる. しかし, 9月から翌春の4月までは含水量が殆んど一定であるから, 浸透価の季節的変化は溶質比の変化にのみ依存し, 一方4月から5月の芽の展開までは溶質比が一定であるから, 含水量の変化にのみ依存する. 5月から9, 月までの溶質の変化には電解質が, 10月から3月までのそれには非電解質が多く関与しているらしく, 9~10月と4月は, 含水量一定期間の前後ということからも, クワの芽の生理的転向点と考えられる.

著者関連情報
© 公益社団法人 日本植物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top