植物学雑誌
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フークス科藻類の発生力学XVIII.
形成しつつある仮根における原形質要素の配分
中沢 信午
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1961 年 74 巻 874 号 p. 161-164

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抄録

スギモク (Coccophora Langsdorfii) の仮根を形成しつつある幼胚を重力の25,000倍で5分間超遠心した結果つぎのことが知られた.
(1) 正常の幼仮根には核, 細胞質マトリクス, プラスチドおよび青白色小体の少なくとも4種の要素があり, プラスチドは主として仮根の先端部域, 核は中央, 青白色小体は基部に配位し, 細胞質マトリクスは全面に分布している. 仮根の長軸に対して横向きに遠心力を作用させるとこれらの要素のうちマトリクス以外はすべてそれぞれの部域において求心側に移動する. これはそれらの比重がマトリクスよりも小さいことを示している.
(2) 仮根に対して基部または先端向まに遠心力を作用させると, 青白色小体はやはり求心端にあつまる. しかし核とプラスチドは遠心端にあつまり, 青白色小体とは中間に位置する透明な部域によってはなれる.
(3) 青白色小体はおそらく physode の一種で, 第2鉄イオンおよびフェーリング氏液を還元する性質をもっている.

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