植物学雑誌
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ナンジャモンジャゴケの知見補遺
井上 浩
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1961 年 74 巻 881-882 号 p. 509-513

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抄録

ナンジャモンジャゴケのミクロトーム切片を作成して研究した結果, 次のことが明らかとなった.
1.茎の生長点では, 1個の大形な頂端細胞とこれに三面で接する3個の大形細胞がみられる. 頂端細胞の分裂によって形成された3個の細胞は, ほぼ同じ大きさで背腹性を示さない.
2. 茎の生長点付近では, 葉は頂端細胞の各分裂面に対し一葉づつ形成され, 各葉はらせん状に配列する. 茎頂部をはなれるにつれ, 各葉は位置にねじれを生じている.
3. 造卵器の腹部は2~3細胞層の壁をもち, けい細胞は6列に配列する. 造卵器は葉と同じ起原をもち, 葉よりの分化程度は少ない.
4. 分枝は, 茎の表皮細胞から1~2層内部の細胞が分裂組織となって形成される.
5. ナンジャモンジャゴケの造卵器および生長点の構造は蘚類との密接な関係を示すことが多い.

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