1961 年 74 巻 881-882 号 p. 524-531
1. L. sprengeri と L. straminea の人工雑種を作り出して, その形態学的および細胞学的特徴を調べた.
2. 人工雑種は, 外部形態的には両親植物の中間型を示すが, どちらかといえば L. straminea に近似である.
3. 核学的には根端細胞において, 2n=19=3V+16Rを示し, 異質二倍体で, 染色体数は両親植物の半数染色体数の和である.
4. 花粉母細胞の第一分裂前期において, V形染色体の両腕に棒形染色体がそれぞれ1個ずつ対合した異形三価染色体を形成する. このことは, ヒガンバナ属に見られるV形染色体は棒形染色体2個に相当し, 棒形染色体の癒合によって生じたという稲荷山の見解を裏付けるものである.
5. この人工雑種は, 外部形態および染色体構成の上から, 異質三倍体である L. squamigera (ナツズイセン) の二倍体にあたるものと見なされる.