1963 年 76 巻 904 号 p. 374-380
1. 顕微鏡下で電気的に主葉枕柔細胞を刺激し, その興奮現象を明らかにした. すなわち, 刺激がある値に達すると, 瞬間的に液胞が収縮し, ときに細胞内における位置も動いた. それと同時に, 細胞自体の形や位置も変化した. この際, 細胞の容積自身も多少収縮するが, ときにはほとんど変らないこともある. このような興奮現象は, 上半部の葉枕細胞でも, 下半部のでも同様に見られた. これらのことから, 主葉枕の上半部も下半部もともに被刺激性をもっていることは明らかである.
2. オジギソウの葉の傾震性屈曲運動において, その回復曲線上にめいりょうな減衰振動様運動が起こることを認め, これは葉枕上半部と下半部との拮抗的作用に起因するものであることを明らかにした.
3. 葉枕上半部も下半部もともに被刺激性を有するという事実に基づき, オジギソウの葉の傾震性屈曲動の機構について一つの考え方を提案した.