植物学雑誌
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オオヒトエグサの生活史について
館脇 正和
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1963 年 76 巻 904 号 p. 381-387

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抄録

緑藻ヒトエグサ属の一種について, 国枝は, 天然に見られる葉体は雌雄異株の配偶体で, 胞子体は微小な厚膜の単細胞体であることを観察し, この事実に基づいて, 配偶体と胞子体が同形のアオサ科からヒトエグサ属を分離してヒトエグサ科を新設した. しかし, ヒトエグサ属の種類の生活史は必ずしも国枝の観察とは一致していない.
本研究では, オオヒトエグサの生活史について観察したが, 胞子体も配偶体もともに葉状でまったく同形である. 配偶体は雌雄異株, 配偶子は雌雄同形で2本のべん毛を持ち, 遊走子は配偶子より大形で4本のべん毛を有する. ともに眼点があり, 正の走光性を示す. 接合子と遊走子の発生様式はまったく同じで, 両者とも静止後, 発芽して細長く伸び, はじめは横分裂のみをくり返し数個の一列細胞の発芽体となり, やがて縦分裂も起こって発芽体は中空の管状葉に発達する. 後に葉体頂部で裂開し一層の細胞層からなる膜状葉となる. 本研究では, 培養10ヵ月後に成葉を得たが, 接合子から発達した葉体には遊走子が, 遊走子からの葉体には配偶子が形成された. すなわち, オオヒトエグサの生活史はアオサおよび, アオ ノリと同様に同型の世代交代が行なわれていることが観察された.

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