1964 年 77 巻 910 号 p. 139-145
筆者は近畿地方に生育している Aster semiamplexicaulis を採集し,細胞学的に研究した結果, 次のことがわかった.
1. 採集された246株の約半数は 1~4 個の過剰染色体を持っていた.
2. 過剰染色体を持っ個体の普通染色体の核型は過剰染色体を持たぬ個体の普通染色体の核型と同じであった.
3. 過剰染色体はいずれも普通染色体の最小のものの約 1/2~1/3 の大ぎさで, 1狭窄をmedian, submedian, または subterminal に持ち, これらには少なくとも3型がある.
4.花粉母細胞減数分裂第一中期で, 過剰染色体は多くの場合一価染色体として行動するが, まれには過剰染色体を2個以上持つ株で過剰染色体同志の対合が観察された.
5. 過剰染色体は普通染色体とはほとんど対合しないが, まれに特定の株で matrix connection または end-to-end の対合を行なった.
6. 過剰染色体 1~2個 を持っている個体は, 持たない個体と形態的に相違は認められないが, 過剰染色体を4個持つ個体は媛小である.