植物学雑誌
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*•*•**•*: ハッショウマメの上胚軸にできる一種のカルス (outgrowth) の生理学的研究
III. カルスと上胚軸とにおけるグルコース代謝経路の比較
諸橋 征雄駒嶺 穆佐藤 満彦下郡山 正巳
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1965 年 78 巻 920 号 p. 43-49

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抄録

ハッショウマメの上胚軸とその切断面に生ずるカルスとにおけるグルコース代謝経路の比較をおこない,次のような結果が得られた.
1. カルスにおいては, グルコースからのCO2放出に対するマロン酸阻害は, 上胚軸の各部分にみられるそれに比して低い.
2. 上胚軸においては, 各部分にみられるマロン酸阻害度は, 先端部から基部にむかって, 減少する.
3. カルスにおけるC6/C1 ratio は, 上胚軸の各部分におけるそれより, 小さな値を示す.
4. 上胚軸では, 先端部から基部にむかって, すなわち, 分化と aging がすすむにつれて, C6/C1 ratioは小さくなる傾向にあるとみなされる. しかし, カルスでは, 若いカルスのほうが, むしろ小さな値を示している.
5. Part Iでは, グルコースのC-6からのCO2放出は, C-1からのCO2放出と同様, マロン酸によって強く阻害されるが, カルスではマロン酸阻害はいちじるしくない.
6. Part I とカルスとを比較すると, グルコース-U-C14からのC14O2放出量は, カルスのほうが多いが, クエン酸-1, 5-C14からのC14O2放出量は, 逆に part I のほうが多い.
7. これらの事実は, カルスのグルコースの分解経路については, PP系が主要な経路であり, 上胚軸,ことに part I では, EMP-TCA 系が, 大きな比重をしめていることを示唆する.

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