植物学雑誌
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Vaucheria および Dichotomosiphon の細胞膜主成分の化学的性質とその分類系統との関連
前田 昌徹黒田 和子入来 義彦千原 光雄西沢 一俊三輪 知雄
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1966 年 79 巻 940-941 号 p. 634-643

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抄録

1) Vaucheria (フシナシミドロ) 属2種および Dichotomosiphon tuberosus チョウチンミドロから, それぞれ細胞膜の骨組みをなすと考えられる物質を「粗繊維」として分離し, その化学的性質を調べた. 2) フシナシミドロの主細胞膜物質がセルロースであることを酢化分解など, 主として化学的手段によって確認した. 3) チョウチンミドロでは, 主細胞膜を構成する物質はキシランであった. このキシランは, 化学的構造の点でイワヅタ, ハネモ, サボテングサ, マユハキモの主細胞膜をつくっているキシランと同一であった. 4) これらの結果は, はじめフシナシミドロ科に入れられていたチョウチンミドロを, この科からはずすべきであるとする見解を証拠だてるものと思われる. 5) 主細胞膜物質として, フシナシミドロにはセルロースが存在し, クダモ目 (Siphonales) にこれが欠けていることは, フシナシミドロをクダモ目からはずす考え方に対する証拠をさらにつけ加えるものである.

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