植物学雑誌
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スイレン科の形態学的ならびに発生学的研究 III
Victoria cruziana D'Orb. および Nymphaea stellata Willd
Pushpa KHANNA
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1967 年 80 巻 950 号 p. 305-312

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抄録

Victoria cruzianaNymphaea stellata の発生が研究された. ラセン状に配列した雄ずいは, Nymphaeaでは内側のものが線形, 外側のものが卵形であり, Victoria では鍼形で仮雄ずいがある. よく発達した endothecium (裂開組織) と多核の分泌性タペートがある. Victoria では, 正常な花粉粒のほかに,稔性ある複合花粉粒が多くある. 一方 Nymphaea では少しの小さな不稔花粉が見られる. 葯は内向性で縦裂する.
胚珠は倒生, 2珠皮, 珠心は厚く授精後に腺状で通気組織をもった仮種皮が形成される. 胚珠の大きさはNymphaea ではまちまちである. 表皮下の胞原細胞は, Victoria では3ないし4層の, Nymphaea では1層の壁細胞層をつくる. 珠心は受精した胚珠では外乳を形成し, その細胞と核は興味ある変化をとげる. 核は最後には退化する. 外乳は形態学的ならびに生理学的に内乳に匹敵する. 胚のう発生はタデ型である. 重複受精が見られる. 内乳は Victoria では退膜型であり Nymphaea ではヘロビエ型である.

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