植物学雑誌
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バラ花弁の色調発現の研究 (第5報)
赤色系花弁におけるアントシアンの量的効果に関する色彩科学的研究
安田 斉
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1967 年 80 巻 951 号 p. 357-362

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抄録

赤バラおよび黒バラの花弁について, アントシアン含量と花色との関係を色彩科学的に研究した. 用いた品種は赤バラとしては Happiness, Crimson Glory, Karl Herbst, 黒バラとしては Bonne Nuit, Charles Mallerin, Josephine Bruceである. 花色は花弁の分光反射率曲線からC.I.E.標準表色系によりx, yおよびYを求め, これからI.S.C.C.-N.B.S. 方式により具体的な色名として表現した.
得られた結果は次の通りである.
(1) 赤バラ花弁ではアントシアン含量が大体150γ/cm2から800γ/cm2に高まるにつれて, 花色は deep or dard purplish Red→very dark purplish Red→very dusky Red の順で異る.
(2)黒バラ花弁では色素含量が大体300γ/cm2から1000γ/cm2に高まるにつれて, 花色は verydusky purplish Red→very dusky Red Purple→purplish Black→reddish Black の順で変化する.
(3) 黒バラにおける赤色花弁では, 赤バラ花弁の場合と同じ順序で変化する.
(4) 赤バラの花色の変化と黒バラのそれとの間には, アントシアン含量による連続的な関係は見られない.

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