植物学雑誌
Online ISSN : 2185-3835
Print ISSN : 0006-808X
ISSN-L : 0006-808X
硫黄細菌の細胞表層の性質について
丸の内 棣森 健志
著者情報
ジャーナル フリー

1968 年 81 巻 958 号 p. 179-189

詳細
抄録

1. 硫黄細菌 Thiobacillus thiooxidans の硫黄酸化能は, 中性およびアルカリ性において高級脂肪酸によって阻害された. 阻害度は脂肪酸の溶解度に比例しているように思われる.
2. 硫黄酸化はデオキシリボヌクレアーゼ, リボヌクレアーゼ, リパーゼ, セルラーゼおよび数種のプロテアーゼによって阻害されなかったが, リゾチームと蛇毒酵素によって阻害された. 細胞をアルカリ処理すると両酵素によりさらに強く阻害された. 細胞浮遊液の濁度はリゾチームの添加によって減少せずにむしろ増大した. 2つの酵素による硫黄酸化阻害の機作を考察した.
3. この細菌から単離された細胞壁は, トリプシンによって速かに消化され, 消化後に繊維状構造が電子顕微鏡的に観察された.

著者関連情報
© 公益社団法人 日本植物学会
次の記事
feedback
Top