1. 硫黄細菌 Thiobacillus thiooxidans の硫黄酸化能は, 中性およびアルカリ性において高級脂肪酸によって阻害された. 阻害度は脂肪酸の溶解度に比例しているように思われる.
2. 硫黄酸化はデオキシリボヌクレアーゼ, リボヌクレアーゼ, リパーゼ, セルラーゼおよび数種のプロテアーゼによって阻害されなかったが, リゾチームと蛇毒酵素によって阻害された. 細胞をアルカリ処理すると両酵素によりさらに強く阻害された. 細胞浮遊液の濁度はリゾチームの添加によって減少せずにむしろ増大した. 2つの酵素による硫黄酸化阻害の機作を考察した.
3. この細菌から単離された細胞壁は, トリプシンによって速かに消化され, 消化後に繊維状構造が電子顕微鏡的に観察された.