植物学雑誌
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チャセンシダ科植物の核学的研究 II
チャセンシダ科72種の染色体
川上 昭吾
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1970 年 83 巻 980-981 号 p. 74-81

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抄録

1) 本研究では日本産チャセンシダ科 (Aspleniaceae) の2属7種の核学的研究を行なった.
2) 観察されたイワトラノオ (Asplenium varians) とクモノスシダ (Camprosorus sibiricus) の染色体数は体細胞で 2n=72 であり, オオタニワタリ (A. antiquum), シマオオタニワタリ (A. nidus), チャセンシダ (A. trichomanes), コウザ キシダ (A. ritoense), アオガネシダ (A. wilfordii) は 2n=144 である. このうち, オオタニワタリと アオガネシダの染色体数は始めて明らかにされたものである.
3) 核型分析から, イワトラノオおよびクモノス シダの染色体(2n=72)は形態的に異なるA~Fの6 型からなり, 各型はさらに2組に分けられ6本ずつ の12組からなる. 従って, 両種の染色体の原始基本 数は b=12 で, 両種は6倍性起原の植物と考えられる.

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