植物学雑誌
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Andreaea rupestris var. fauriei (クロゴケ) の 原糸体および茎葉体の形成に関する研究
西田 雄行
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1971 年 84 巻 993 号 p. 187-192

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抄録

本研究では Andreaea rupestris var. fauriei の原糸体形成および茎葉体の芽の分化について観察 し, 次の事柄が明らかになった.
1) 本変種の胞子は他の Andreaea 属の種の場合 と同様, 胞子外膜内で発芽し, 4-6個の細胞になる. これらは胞子外膜が破れた後, 8-25個の細胞からな る塊状原糸体を形成した.
2) 本変種の原糸体は塊状原糸体, 糸状原糸体お よび葉状原糸体の3者からなる.
3) これらのうち糸状原糸体と葉状原糸体は塊状 原糸体から形成される.
4) 本研究によって Andreaea 属の糸状原糸体の 形態および発育過程の詳細が初めて明確にされた.
5) 茎葉体の芽が葉状原糸体および塊状原糸体か ら形成されることが明らかとなった. 故に, クロゴ ケ目植物で茎葉体の芽が塊状原糸体からも分化する ことが初めて確認されたのである.

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