2022 年 9 巻 p. 17-24
本研究の目的は,侵襲的治療を受ける認知症高齢者の気持ちを安定に導くために老人看護専門看護師が用いる能力を明らかにすることである.認知症高齢者をケアする老人看護専門看護師7名に半構成的面接を実施し質的記述的に分析した.その結果,【認知機能障害の影響を判断しつなげる能力】【ケアを受け入れられる存在になる能力】【心地よいコミュニケーションを図る能力】【高齢者の人生経験をケアに取り入れる能力】【クリティカルに身体状態を捉え回復につなげる能力】の5つのカテゴリーが抽出された.老人看護専門看護師はこれらの能力により認知機能障害の影響を判断し,ケアを受け入れられる存在となり心地よいコミュニケーションが図れる援助関係を築いていた.これらを基盤にして,認知症高齢者の気持ちを安定に導くケアへと発展させていた.