日本腎臓学会誌
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同種造血幹細胞移植患者に発症するネフローゼ症候群
自験4例から得られた臨床知見
迫田 邦裕澁谷 あすか鈴木 一恵齊藤 博根本 哲生田部井 薫安藤 稔
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2007 年 49 巻 8 号 p. 999-1006

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抄録

同種造血幹細胞移植後にネフローゼ症候群を発症し, 病理診断を得た4例の治療経験から得られた臨床知見を報告する。症例は1986年9月から2005年6月までの約19年間に当院にて同種造血幹細胞移植を受けた585例のうちネフローゼ症候群を発症した3例と, 他院で同種造血幹細胞移植後, 当院で経過観察中にネフローゼ症候群を発症した1例である。原疾患は急性リンパ性白血病が2例, 慢性骨髄性白血病1例, 急性骨髄性白血病が1例で, 男性3例, 女性1例, ネフローゼ症候群発症時平均年齢は32.5±10.1歳であった。いずれの症例も移植後経過は順調であったが, 移植後平均20カ月後にネフローゼ症候群を発症した。腎生検結果は3例が膜性腎症, 1例が微小変化群であった。すべての症例はネフローゼ症候群発症前に軽度の慢性移植片対宿主病 (graft-versus-host disease: GVHD) 症状を認めシクロスポリンを内服していたが, その減量もしくは中止後に蛋白尿の持続陽性が出現し, ネフローゼ症候群に至った。4例中3例に抗核抗体が陽性 (1例は未測定)であった。ネフローゼ症候群の診断後, いずれの症例もプレドニゾロンの単剤内服治療を開始された。1例はシクロスポリンへの変更が必要であったが, いずれも治療への反応は比較的良好で, 完全寛解 (2例) または不完全寛解I (2例) の状態に至り, 外来で経過観察できている。現在までに腎不全に至った症例はない。当院単一施設における骨髄移植後のネフローゼ症候群発症頻度は0.51% (3/585例) であった。また, 4症例とも免疫抑制薬の減量・中止を契機に慢性GVHD症状が再燃し, 引き続きネフローゼ症候群が発症するという特徴的経過を持つことから, その発症機序の一部には慢性GVHDに関連した免疫異常が関与している可能性が示唆された。

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