日本泌尿器科学会雑誌
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原著
von Hippel-Lindau病全国疫学調査における腎癌の臨床的解析
執印 太郎篠原 信雄矢尾 正祐山崎 一郎田村 賢司鎌田 雅行
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2012 年 103 巻 3 号 p. 552-556

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抄録

(目的)本邦von Hippel-Lindau(VHL)病患者に発症する腎癌の臨床的特徴を解明する.(方法)平成21~23年度厚生労働省難治性疾患克服研究事業により,本邦初のVHL病患者疫学調査を行い,腎癌の臨床的特徴を解析した.発症年齢,性別,居住県,治療内容,腎障害の程度,転移部位,死亡情報,ECOG Performance Status(PS)を調査した.(結果)全患者409例中,腎癌は206例(50.3%)に発症し,性差なく発症平均年齢37.8±0.92歳,中央値35歳,分布は15~75歳で幅広く最多発症年齢20~50歳,有転移者は23/206(11.1%),主な部位は肺14/23(60%)であった.報告のある203例の治療内容は腎部分切除又は腫瘍核出(46%),腎摘出(31%),ラジオ波焼灼(14%)で,外科治療歴は平均1.6回,最多6回,2回以上の症例は44%,治療回数増加でeGFRが低下し,7例(3%)が透析を受けていた.PS1以上は42%で,腎癌死亡者数は6例(2.9%),10年生存率は94%と非遺伝性腎癌に比べ予後が良好であった.(結論)本邦のVHL病発症腎癌の特徴は合併頻度が欧米よりやや高く,若年の同時性多発性と異時性発症が確認された.頻回治療で腎機能が低下する事が明らかとなった.

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© 2012 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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